【Golden Globe Raceでの救助活動】
みなさん、こんにちは。
陸上班の清水です。
JORAで2018年7月1日のスタートをお伝えした無寄港世界一周レースGolden Globe Raceですが、レース開始から81日、インド洋の中心を70ノットの風と14メートルに及ぶ波を伴う激しい嵐が襲いました。レースの先頭グループを帆走るセーラー達もこの嵐により大きな被害を受けた模様です。
先月9月21日(金)12:09UTCにレース本部は「転覆、デスマスト、背中に重大な負傷。起き上がれない」というインド人セーラーのアビラッシュ・トミー(Abhilash Tomy)からのメッセージを受信。
レース運営はオーストラリア救助オペレーションコーディネーションセンターとの厳密な連携をとり全ての船舶への警報を発信、オーストラリア防衛当局によって進められる救助作戦の調整につきました。アビラッシュの船はインド洋の中心、オーストラリアのパースからはおよそ1900マイル離れた位置でデスマストしており救助活動は難航した模様です。
今回、レース本部から見た救助の模様を伝えるOuest Franceの記事をご紹介します。
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Golden Globe Race
世界の果ての救助活動
Ouest France新聞
2018/09/28 10:16掲載記事
日本語訳:広瀬&JORA事務局
ゴールデン・グローブ・レース(以下:GGR)運営者達は2名のスキッパー救助に伴い数時間にわたる苦悶を過ごした。インド人セーラーのアビラッシュ・トミー(Abhilash Tomy)とアイルランド人グレゴー・マクガキン(Gregor McGukin)がオーストラリア外洋で遭難したのだ。ウエストフランスはサーブル・ドローヌに設置されたレース本部に潜入していた。これらの瞬間に海の激しさに立ち向かわなくてはならない地上での物語を伝える。
2018年9月24日の早朝、GGRの司令部に到着した時の対照は驚くべきものだった。電話は鳴り止む事がない。携帯電話はビープ音を鳴らす。世界全体のラジオ局やテレビ局がレース創始者でレース代表であるドン・マキンタイヤー(Don Maclntyre)との生中継を望んでいた。外部は沸き返っている。
金曜日からの救助活動
一方で運営側は威厳のある落ち着きを見せている。集中力と精密さがそこにあった。皆が各自パソコンを前にしている。インド人スキッパーのトミー・アビラッシュそしてアイルランド人ゴレゴー・マクガキンの救助を引き受けたフランスの哨戒艇オシリス(Osiris)の追跡を続けている。レース本部では「レッドコードが発動されたため危機管理計画が策定された。」
「私たちは金曜日から動員しています。またお分かりのように、マットレスと寝袋を用意しここで寝泊まりし交代ができるようにしています。」と運営者達は話してくれた。目の下のクマはそこまで目立たないようだ。睡眠時間は片手で数えられるほどだったとしても、この長きに渡る苦悶に幕を閉じるのは疲れよりも安堵である。
「よし!アビラッシュが救出された。たった今、電話をもらいました。大丈夫。彼は安全です。」
大声ではない。喜びを含んだ声だった。ただ安心させる確信の笑みだった。「もう大丈夫」スキッパーは「極度の脱水症状で、体の状態は本当に良くないが、意識ははっきりしている。」
金曜日の朝、スキッパーはインド洋の南にあるアムステルダム島の病院でインド軍による引き渡しを待っていた。スキッパーのアビラッシュ・トミーはインド海軍航空の元指令官だった。
トミーの妻からの電話
だからと言って何も終わってはいない。活動はまだ増大すると言っていい。より一層電話が鳴る。「アビラッシュの妻から電話でドン(レース運営の代表)と話したいそうです。」言葉は暖かかった。「彼女は喜んでおり、私たちに感謝を述べてくれた。」ドン・マキンタイヤーは大きな声で言った。「お礼をしなくてはいけないのは我々の方なのです。彼女のおかげで日曜日の時点でインド海軍がアビラッシュの船上空を飛ぶ事ができたんですから。彼女のネットワークを駆使してくれたんです。」何と言ってもトミーはインドのタバルリーという事を知らなくてはいけない。
第二の救助活動
ニュースは広がった。午前中にBBCニュースはドン・マキンタイヤーとの遠隔生中継を申し込んだ。気持ちが少しヒートアップしてくる。「当然のことです。役割を果たさなくてはいけません。だが、アビラッシュの一つ目の救助活動で全てが終わったわけではないのです。」レース本部で我々は息をつく。その通りでフランスの哨戒艇はもう一人のスキッパーの捜索に急いでいた。アイルランド人のマクガキンは海のコンディションを考慮しリタイヤを余儀なくされていた。
それから大切なのはレースを続けるその他のセーラーの命だ。「毎朝スキッパー達は彼らの位置情報を伝える連絡をくれます。」当然ながら月曜日の朝はその様子が異なった。各々が救助された仲間の情報を確認した。その内の一人が衛星電話を使い次のようなメッセージを送った。「この素晴らしいニュース、そして素晴らしい連携調整対応をありがとう。アビラッシュの一早い回復を願っている。」またもう一人は「これで新たにレースを満喫する事ができる。」と安堵を表した。午後に入るとマクガキンはオシリスでトミーと合流した。レース本部では緊急時用マットレスを押入れに片付ける事ができる。夜はやっと穏やかになる事だろう。そしてレースは続く…
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原文記事はこちらから
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