守屋有紗のRoad to Ocean Sailor vol.3【外洋レース出発に向けての準備〜装備、備品、食料〜】
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こんにちは。守屋有紗です。
本日は、外洋レースに必要な装備や備品ついて、外洋初心者の私が学んだこと、感じたことをお伝えできたらと思います。
盛りだくさんの内容となっていますので、お楽しみいただけると嬉しいです。
6/28(火)
本日は艇の整備や必要備品の整理をすることに。
■艇の整備と船内説明
昨日のセーリングで問題となったオートパイロットやシステム関係について、午前中に業者の方に修理をしてもらいました。私は、オーナーの北田さんから船内の説明を受けます。隔壁の付け方から勉強です。
セールの重さを体感、ということで運んでみます。
ステイスルはまだ大丈夫ですが、他のセールはやはり重いです。
セールを引っ張り、引きずり動かします。
シングルやダブルハンドだと、レース中に1人でデッキの上まで運んだり、揺れる船内でタックの度にこれらを移動させたりしなければなりません。大変な作業です。
クラスルールの変更で、船内の浮力体の追加が必要になったそうで、今回新たに2箇所の浮力体を追加したとのこと。
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ウォーターバラストの使い方の説明も受けます。
この船にはウォーターバラストが付いており、強風時にはヒールを抑えるために、海水を吸い上げ、片舷のタンクにためます。タックをする毎に電動ポンプで反対舷に水を移動させます。
■積込み荷物の確認
その後は、倉庫でレースに積み込む荷物の確認です。
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キッチングッズとして、コップ、お皿などを入れます。
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パックのドライフードを食べるのに、スプーンは長い物が便利とのこと。
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こちらはカフェインが多く入ったゼリー。
レース中の眠気覚ましに必須とのこと。
その他強いコーヒーや紅茶、ガム等も入れます。
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トイレットペーパー等は濡れてダメにならないように、一つずつジップロックに入れること。
などのように、細かい工夫から一つ一つ丁寧に教えてもらいながら準備をしていきます。
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緊急用タオル、寝る時に使う水が染み込まない毛布
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体拭き、おしり拭き
まだまだ多くのリストがありますが、バッグへの入れ方やポイントも含め、詳細はまた別の機会にまとめたいと思います。
■通信システムの見直し
その後、通信システムについて、業者の方と相談をしました。
レース中の衛星通信は、気象情報の取得、陸上との連絡、写真や動画等の送信等に使うとのことです。
この日は新システムの説明を受け、見積もりを出してもらうことに。
通信料やレース中の送信の手間を考えると新システムの方がメリットが大きそうですが、設置費用の見積もりを出してもらってから考えることとなりました。
現状では、通信費用だけで1ヶ月で15万円以上かかるそう…
とても高いですが、以前よりは随分お手頃になり、技術も進歩してきているとのことです。
外洋で使うシステム関係は、まだまだ見たことのないものも多いため、これからしっかり勉強していきたいと思います。
■レースフードの在庫チェック
倉庫に戻り、レースフードの在庫確認を行いました。
私は、1週間や1ヶ月という長期間のレース中、いったい何を食べるのだろう?と思っていました。
大西洋横断レースを3回完走した(その他多数実績あり)北田さんの場合は、お湯を入れて10分で完成する、ドライフードを食べているとのことです。
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大量のドライフード
試食をしてみることに。
今日はこの3つ。
お湯を入れて混ぜて、10分待ちます。
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待機中…
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完成です!
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いざ実食…
どれもとても美味しい!
味付けは、日本で売っているパスタソースのように美味しく、パスタ自体もお湯から茹でたような仕上がりでした。
チキンパスタは、チキンというよりはツナクリームパスタに近い味。
ボロネーゼは、ハーブやスパイスの味が効いてて、お店の味みたい。
サーモンブロッコリーは、ミルクから作ったクリーミーなパスタで、あっさりしていて飽きない味でした。
素晴らしい完成度。
北田さんはこの3つのローテーションで1ヶ月生き延びられるそう、、
私はもっとレパートリーが欲しい…ということで、後日色々と試食をしてみたのでまたレポートいたします。
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エナジーバー
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味噌汁ストック
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カップラーメンやどん兵衛のレフィル
こちらは、日本で購入したものとのこと。
マグカップに入れて食べられるのと、ゴミが少なくなるため、ロングレースには良いそうです。
■サバイバルスーツの準備
こちらはサバイバルスーツです。
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中身はこちら
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今年3月に参加したJOSA主催サバイバルトレーニングで学んだことの1つです。
トラブルがあり船から離れなければならなくなった際の本当の最終手段、艇体放棄をしてライフラフトに乗り込む際に必要なものです。こちらのサバイバルスーツを着て(時間がない場合は持って)ライフラフトに乗り込みます。
JOSAのサバイバルトレーニングの際にも、サバイバルスーツを着てのプール実習がありましたが、緊急時にも素早く自分のスーツを着られるよう、練習が必要になります。
こちらのスーツの仕組みを教えてもらい、試着します。
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こんな感じ
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不思議な格好に見えますが、これが緊急時に自分の命を救ってくれるものになる大切なものです。
正しい着方を覚え、船内の設置場所を把握し、緊急事態の際にも冷静に対応できるようにしたいと思います。
もちろん、使う機会が出ないようにすることが一番ですが…!
■ショップへ
その後、昨日のライフジャケットの点検で、期限が切れていた、ボンベやライトを購入しに、ショップへ行きました。
ハーバーに3件ありますが、全部とても広い!
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本当に日本との規模の違いに驚きます…
商品を注文して帰ります。
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■ドライフードショップへ
ドライフードショップはそれ自体で一つの建物になっており、とても広いです。
数百種類のレースフードがずらりと並んでいます。
こちらで試食用のものを数種類選びます。
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試食の感想はまた後日お送りいたしますね。
■まとめ
今日は、外洋レースに必要な装備、備品、食料等を学びました。
外洋では、どんなことが起きても、すぐには陸に帰ることができません。安全にレースを続けるために、必要なものをしっかりと準備をすることが重要だと感じました。
これからは、これまで体験したことのないことも含め、可能な限り多くのアクシデントを想定し、必要な備えを考えることで、対応能力を高めていきたいと思います。
長文となりましたが、本日も読んでいただきありがとうございました!
このシリーズの全ての記事は、下記リンクでご確認いただけます。
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