Otchan’s Star ☆ OceanBootCamp(Over 50 years old) (オヤジの星☆オーシャンブートキャンプ 50歳〜)Vol.2
区間:浦賀港〜函館港約500マイル
期間:2023/06/27〜7月01日
第2弾!⭐︎重野 悟さんのレポート⭐︎
2023年6月27日から7月1日にかけて50歳以上の3名のCamperが乗艇してOceanBootCampが開催されました。
今回の乗船必須条件はJOSAサバトレ受講者であること。サバトレで学んだことを実践を通じて再認識できる貴重な機会になることを期待して浦賀港の「シティーマリーナヴェラシス」を出港し函館港の南北海道外洋帆走協会泊地を目指しました。
Camper3人のレポートを3弾に分けてご紹介しております。
そして次回は貴方の参加をお持ちしております。
第1弾では木田さんのレポート(こちらからご覧いただけます)をお届けいたしました。
今回の第2弾では重野 悟さんのレポートをご紹介いたします。
重野さんも木田さんと同じ2022年11月開催JOSAサバイバルトレーニングにご参加くださいました。
2019年、2023年には小笠原レースに『弥勒II』のクルーとして参加され、今年のレースでは完走をされました!
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『貴帆で学ぶ基本のき 〜 函館Ocean Boot Camp参加レポート〜』
文:重野 悟
写真:JOSA
貴帆に乗れる日が来るとは夢にも思わなかった。
しかも500マイルも。
光跡を読みYouTubeを見まくった自分にとって北田さんは神。
その神が乗る艇で、僅か2回の小笠原レース経験しかない自分が果たして乗り切れるのか、
と緊張しつつ、楽しもうと臨んだ。
浦賀から函館までの航程は以下のとおり(時刻はおよそ)。
・6月27日12時 浦賀出航、クローズで本船をかわしながら東京湾を出る。
・6月27日18時 館山沖到達、銚子沖に向けて変針。軽めのダウンウインドウを受けて貴帆は滑るように走る。
・6月28日07時 銚子沖からほぼ真北へ変針。
・6月28日13時 大洗沖で北東へ。時々風が弱まる。
・6月28日19時 いわき沖で再び真北へ。
・6月29日04時 金華山沖通過。ここまでダウンウインドウに恵まれてきたものの、やや弱い。津軽海峡到達時の気象を考えると、早めの進行が望まれる。
・6月29日16時 おもえ半島沖。後半の機帆走でのカバーを確実にするため、宮古での給油を決定。
・6月29日21時 宮古港ポンツーン着。タクシーを手配して給油40L。佐渡沖から北東に進む低気圧をやり過ごす策をとり、翌日昼頃の出航を決定。
・6月30日11時 宮古出航。
・6月30日21時 八戸沖で尻屋埼に向け変針。西からの風が強まる。
・7月01日01時 尻屋埼まで40マイル、風が南西に振れて27ノットオーバー。北田さん「来たな」。アビーム2ポンステイスルでmax13ノット。貴帆は安定している。
・7月01日05時 尻屋埼沖通過。津軽海峡の潮流と正面からの風が強烈。反流を探りつつ大間崎を目指す。
・7月01日12時 大間崎手前。低気圧の名残の風か?25ノットのクローズで快走。このまま一気に海峡を横断して函館を目指す。このペースだと2時間で到着か。
・7月01日13時 函館山まで13マイルのところで急に風が弱まり減速。潮に流される。このままだと湯の川温泉到着だ。
・7月01日17時 函館山通過。
・7月01日18時 函館港到着。函館ヨットクラブの方々の暖かい出迎えを受ける。
浦賀を出ると、貴帆は滑るように進んだ。
スターンで用を足す度に、貴帆の綺麗な航跡を目にする。
東京湾を出て銚子沖へ向かう。まもなく日没だ。
堤さん木田さんと3人でワッチを組んで1時間ずつ舵をとる。
自分の番。クオーターの風にフラつく。
北田さんからアパレント角を固定するよう指示される。肩に力が入ってフラつく。
当て舵のタイミングが遅い。切りすぎる。貴帆は感度抜群なのだ。
メーターと睨めっこ。これもよくなかった。
北田さんが後ろに来てタイミングを教えてくれる。遠くを見て舵を合わせる。メーターばかり見ない。
このダウンでのフラつきは最後まで自分の課題になった。
目標物の無い真っ暗な夜はやはりメーターに頼ってしまう。当然フラつく。
これが車ならフラつき運転の常習でとっくに免停だろう。
アパレント±5度を超えたらクビだからね〜とプレッシャーをかけられる。余計フラつく。
普段からシビアにやってないからこうなるのだ。自分のレベルを痛感する。
とにかく1時間集中してみる。そしたら幾分良くなった。でも肩がパンパンになった。
クローズは、尻屋埼手前が圧巻だった。
アビームで艇速がぐんぐん上がる中、ウォーターバラスト注入。
ヒールが潰れて気づけば13ノットオーバー。未体験ゾーンだ。貴帆は安定している。
重野さん大丈夫?クローズは割と大丈夫。でも20ノットオーバーの世界って・・
セイルチェンジ。
みなさんテキパキと手順をこなす。
自分もウィンチを必死で回してファーリングラインをやっとの思いで巻き切る。
重野さん、レースはその倍速じゃないと無理だよ〜。
自分なりに体力づくりに励んできたのだが・・筋力・持久力とも全然足りたいのだ。
セイルチェンジが一段落してシートを片付けている時、
重野さん、シートはコイルしちゃだめだよ。
シートはこうやってしまうのが一番もつれない、と北田さんが実演してくれた。
シートバッグに、ねずみ花火の映像を巻き戻すようにシートを収めていく。
その方法をはじめて知った。知らなかったのは自分だけかもしれないが、関心した。
それをきっかけに、ウインチハンドルをつけっぱなしにしない事や、
ジャマーのかけ方、ハリヤードの引き方など、様々な手順やセッティングはセオリーを超えた実践に基づいているのだと気づいた。
スピードは安全につながる、と北田さんは言う。
素早く作業を終えるためには、物はあるべきところ無くてはならない。
そして,ただそこにあれば良いという訳ではない。素早く使えるようにどうやってしまっておくか、間違わずに使えるようにはどうするか。
色分けして整然と並べられた収納バッグはその一例に過ぎないだろう。
全ての物の位置と置き方が考え抜かれていると思ったら、貴帆の奥深さを感じた。
ダウンでフラつくのを気にする前に、まずこの事を学ぶべき、まさに基本のきだ、と思った。
シートの悲鳴を聞く、音に敏感になる。
他にもいくつかの基本のきに触れることができた、ような気がする。
そして今回最も腹落ちしたのが、怒声罵声禁止、大きな声はよし、という貴帆の大方針。
各所に貼られているスマイルシールがその象徴だ。
実際自分が犯した数々のミスに対して怒声や罵声を浴びせられることは一切なかった。
むしろ逆にフォローの言葉をいただく。
そうするとやる気がでる。申し訳ないから今度こそはという気持ちになる。
一方、怒声罵声はやる気が失せる。それは誰の特にもならない。
貴帆で、改めてセーリング・コミュニケーションの基本のきを学んだ。
以上、とりとめのないレポートになってしまったが、自分が学んだ基本のきはほんの一部だと思う。
JOSA Ocean Boot Camp は、35,000マイルもの海を走破してきた北田さん指導のもとで、ハイレベルなセーリングスキルを身につけられる場だと思う。
さらに、速く安全に走るためにどれほど基本が大切か、そのノウハウを実践を通じて学ぶことのできる貴重な場でもあると感じた。
また機会をいただいて、学びを深めていきたい。
北田さん、木田さん、堤さん、ありがとうございました!
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