受講者の声 ②ーサバイバル&メディカルトレーニング参加・体験記ー
2023年10月6日(金)〜8日(日)& 2023年10月27日(金)〜29日(日)、
JOSA主催World Sailing認定サバイバル・メディカルトレーニングが初めて関東で開催されました。
前回記事では、第1回開催を受講された上月ご夫妻よりお寄せいただいた声を紹介いたしました。
今回は第二回(2023年10月27日〜29日)開催にご参加くださった根岸 様より参加・体験記をご寄稿いただきましたのでご紹介いたします。
2024年2月には北九州にてWorld Sailing認定コースのサバイバル・メディカルトレーニングの開催を予定しております。(受講申込情報はこちらから)
これからの受講をご希望の皆様にも受講生の実際の声をお読み頂きご参考いただければ幸いです!
〜 2022年からJOSA主催で開催しているWorld Sailing認定コースのサバイバル・メディカルメトレーニング。これまで北九州で実施されていましたが、日本全国多くの方が受講できるよう今回は関東での開催となりました。訓練用プールではなくマリーナ内海面での実技訓練を実施するなど、安全面に配慮した中でより実践に近い環境でのトレーニングを実施できました。〜
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海上サバイバル・メディカルトレーニング講習会(2023年10月27〜29日)
参加・体験記
JOSA主催のサバイバルトレーニングはワールドセーリングや海外レース、ロングディスタンスレース等に参加するセーラーのためのトレーニングであり、受講申し込みの段階から健康診断書を求められ、夫に誘われ安全意識の向上が目的であるものの、当初は私にとっては気後れした講習会の参加でした。
受講した結果は座学・実技訓練ともに非常に有意義な3日間となりました。私が張り切ると“雨”のジンクスとはならず、おおむね“晴れ”となりました。
1、2日目は座学の後、実技訓練を行いました。つなぎ服、サバイバルスーツ等を貸与され臨みました。
屋外での消火布を使った実技訓練は、ギャレーで調理中のフライパンから出火と想定。炎を目前に怯む。クロスを手前から滑らせる様に鍋に被せ、空気の通り道を塞ぐようにぴったりと包む。包んでしまえば熱くない。ガス栓を閉める動作。消火完了か?
防火布を外して「覗かないで!」と教わったのに覗きたくなる。1回目は怖さから面積が大きなクロスを使用したが、2回目は足元に垂れたクロスを踏むリスクの小さい、小型の防火布を選択し落ち着いて対処できました。
訓練中に防火布は自艇にあったか?消火器の場所は?今までお世話になった外洋艇クルーザーやレース艇はどこに設置してあったかな?と考えていました。
防火布の訓練に続き消火器や信号紅炎等を実際に体験しました。
その他にも海上に浮かぶ貴帆(Class40 Pogo40-S3)から船体放棄の脱出訓練、ライフブイ海上投げ込み、シート類のフレーク方法、ライフラフト投下・展開・乗り込み・海水の冷たさを感じるグニャグニャの底やラフト内での過ごし方、サバイバルスーツを着用し複数人で浮いて救助を待つ方法、泳がずに浮いて体力を温存、展開時に逆さまとなったラフトをディンギーの沈起こしの様に戻す、救助ヘリを想定した吊り上げ訓練等を海水温の低下した10月末の海上で体験しました。
座学では救命信号を発信する方法、ライフジャケットなどギアのメンテナンス、防水グラブバッグ、手首足首を守るウエアや個人バッグのパッキング、その他用途別のパッキング、船内の保管方法、気象について、フランスでの海上緊急救助の連絡方法、艇の復元実験の他に、国内外の電波法、薬事法などの法律やその実態に触れ、多数のスライドを用いて分かりやすく解説いただきました。
世界中で次々と開発、販売されては消えていくマリンギアやツールがあり、講師の北田さんが多数の現物を会場に持ち込まれて手に取らせて頂きました。講師が自ら実験台(笑)となられた使用感を率直に語ってくださいました。
3日目は陸上の救急搬送ができない場合のファーストエイドを学びました。
座学ではそもそも応急処置とは何か、体幹・四肢、骨折の種類・対応、落水など、海上で起こりうる特殊状況を前提とした講義内容でした。
海上での初期対応の重要性を学び、手首動脈を切る怪我でドクドクと流れ出る血液の動画を見ながら、「出血に怯まず冷静に!死にませんから!」と、動揺する私に森村医師の言葉が響きました。糖尿病のリスクや既往歴、アレルギー、その他に船内に積む医薬品、医療品についても学びました。
実技訓練では人口呼吸、三角巾、テーピング、ネックカラー、スキンステープラで縫合等を体験しました。
火傷の治療について、ひと昔前は乾かしてかさぶたで治す考え方が主流でしたが、近年では湿潤に保つ方法がとられているそうです。
様々な怪我や病気の処置に対して日進月歩があり、見解が分かれるところがあるとのことでした。
以前、クルージング中にお楽しみの飲みの席に誘惑されて(強要もあったかなぁ??)疲れて眠いのに参加してしまい…翌日の船酔いを経験済みです…
またクルーの一見やる気のない動きの裏には疲れや船酔いの他にも、熱中症・低体温症等の病気や怪我の可能性が考えられたかもしれません。
特に今回のサバイバルトレーニングでは低体温症の危険性を知りました。
ファーストエイドによって海上でのパフォーマンスを落とさないことが重要であり、3日間の講義によってサバイバルトレーニングの受講要件とした健康診断の意味を理解しました。
自艇他艇に関わらずヨットレースやクルージングでクルー同士が初顔合わせになる場合もあり、様々な知識と経験をバッググラウンドに持つ全てのセーラーに対して、シーサバイバルについても必要不可欠な知識の一つだと強く感じました。
今まで自身に起きていないトラブルはただ運良く通り過ぎたのかもしれません。今後は予防の意識を高め、トラブルが起きないに越した事はないけれど、それでも起きてしまったならば今回の経験がいかに大事であったか知る事になるでしょう。
防水バッグはタバコの湿気避けだけではないですよね。緊急避難用のグラブバッグですよね(笑)
教本に使用した「RYA Sea Survival Handbook(日本語版シーサバイバルハンドブック)」は、どのパートも引き込まれる内容ですし、繰り返し読んで身につけたいです。
初めてヨットを体験した時に静かに風にのって進んだ感動の一方で、現実では起きて欲しくないトラブル経験をトレーニングという形で体験できました。もしもヨット上で頭部からダラダラと流れる出血の怪我に遭遇しても、私自身がパニックに全くならないとは言えませんが、少なくとも外傷の初期対応を思い出すことでしょう。
海外レースや長距離航海のみならず今一度、デイクルーズであれば大袈裟だと捉えずに自艇の装備を整えていきたいと思います。
ヨットの知識や自身に見合うツールに100点満点はないですし、意識的にアップデートしていきたいと思います。
最後になりましたが講師、ならびにサポート頂いた皆さま、今回のサバイバルトレーニングを共にした受講生の皆さま、本当にありがとうございました。また主催者、会場関係者の皆さまに心より御礼申し上げます。
YokoNEGISHI
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