La Route du Rhum-Destination Guadeloupe通信No.3
みなさんこんにちは!
陸上班清水がお伝えいたします。
先日10月8日、La Route du Rhum-Destination Guadeloupeに向けた北田氏とチーム貴帆による準備が進められているロリアンでAFP(フランス通信社)によるインタビューが行われました。
JORA宛にAFPスポーツ部門の記者の方より直接北田氏へのインタビューのお問い合わせをいただき、この日セーリングをしながらの撮影と取材を受けさせていただきました。
青空の下で貴帆でのインタビューは順調に進み、ローラン・ゲスラン氏(Lanrent GESLIN)によるインタビュー記事はいくつかのフランスメディアによって報道いただきました。
・2018年10月23日 経済紙「Les Echos」ウェブ記事
・2018年10月23日 週刊誌「Le Point」ウェブ記事
2018年でLa Route du Rhumは11回目の開催となり、レース40周年を迎えます。
北田氏は日本人そしてアジア人初のレース参加スキッパーのため、アマチュアセーラーとしての参加ではございますが多くの注目を集めています。
ローラン・ゲスラン氏により北田氏の挑戦を素敵な文章でご紹介いただきました。
至らない表現も多くございますが、JORA事務局にて日本訳にいたしましたのでぜひご覧ください!
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日が昇る国から来た日本人、北田浩が夕日に向かって船を進める
日本人スキッパーの北田浩は会社を経営する54歳。北田は自艇モノハルClass40「貴帆(kiho)」で初めてRoute du Rhum(ルート・デュ・ラム)に参加する。
北田の目標は優勝ではなく「完走」であり、日本でヨットのオーシャンレースへの関心を呼び起こす事だ。
「ビジネス以外の世界に目を向けよう」と思わなければ、会社経営者である北田が40歳という年齢でオーシャンレーサーになることはなかっただろう。
「39歳になるまでの10年間、私は仕事しかしてきませんでした。」と化学関係の仕事につく北田は話し、ロリアンBaseに接岸された自艇「貴帆」(Calss40 (12,18m) Pogo 3Sデザイン、ホワイト)のエンジンをつけた。
10月の午後、スキッパーは地平線をじっと見つめ、フランスの旧潜水基地をバックにグレー地に赤い丸が眩しいメインセールを揚げた。
北田がシート(索具)をトリムして間も無く、船のコックピッドではラジオ受信、スピードメーターは6ノットを表示していた。
優しい風が吹き、穏やかな海の上には青い空が輝く。「今日の船上はちょっとしたパーティーだね」と笑った。銀色の髪、透明縁のメガネの下で微笑む北田は舵を握っている。
北田は漁師の息子で海を目の前にして育った。11月4日、Class40クラスで53名のスキッパーがグアドループに向けて船を進める、その内の一人であることに誇りを見せた。
珍しいことだが、北田は第11回目の開催となるソロレースLa Route du Rhum-Destination Guadeloupeに自分自身の予算で参加する。4年前にルート・デュ・ラムのスタートを見学した後、自身の船「貴帆」をスポンサー無しで建造した。船名の「貴帆」は妻子への敬意を込めて命名された。
「私たちを隔てる世界」
なぜヨットだったのか? 北田は次のように話した。最初は「ただ風の力だけで動き出す船に心を動かされた」
いくつかのフルクルーレースに参加し、2016年にソロレース「la Transat anglaise Plymouth-New York」に参加した。レースでは23日という記録で最後のフィニッシュだったが、このレースを完走した最初の日本人であるとともに、1964年の優勝者であるエリック・タバルリーとその船Ketch Pen Duick IIの記録(27日3時間56分)より早くに大西洋を横断したことは喜んで良いのではないだろうか?
「このレースは50ノットの風とともに複雑なコンディションで、危険なものでした。それを成し遂げて完走することができた。最後まで到達できた時の感覚や力は素晴らしいものです。」
「何があっても北田は最後までやり遂げるだろう。彼はすでにトランザット一度を成し遂げたのだから。」たとえ北田が表彰台に登らないとしても「尊敬すべき人物であるし、最下位にはならないだろう」Class40協会の代表アルバー・マビールは自信ありげに話した。
Class40でのレース参加が北田にとってわずか7回目だったとしてもCass40カテゴリーの偉大なセーラーたちと競うためにはしっかり彼らについていく必要があることを知っている。
「私はアマチュアですからチャンピオンとの距離はとても遠い。私と彼らの間には距離があり、彼らと同じレースに参加できることが嬉しい。でもライバルにはなれません。」と北田は話した。
「オーシャンでのソロトレーニングが少ない状況でこのレースに参加するということは彼の勇気とスタミナを表しています。」Class40でのライバルの一人、Phil SharpがAFP(フランス通信社)からの問いに答えた。
コーチであるジャン=クリストフ・カゾと一緒にトレーニングと問題に取り組み準備を進めて2年半、北田は準備が整った事を感じている。「他のレースと比べることはできないが、ルート・デュ・ラムはできる気がする。」と確信している。
北田は英語を話さないため言語という壁はあるが、コーチのジャン=クリストフと北田は通訳の助けを得ながら意思疎通をするための英語と日本語による二人の「コード(暗号)」を習得した。
「北田はとても上達した。たとえ技術がなかったとしても困難に慣れていくだろう。彼は精神面がとても強い。もし18日〜20日間でフィニッシュすることができたらそれは素晴らしいパフォーマンスだ。」とコーチは評価する。
レースではたった一人の日本人となる北田は「ヨットへの情熱を日本の若者に伝えたい」という思いから日本オーシャンレーサー協会(JORA)の活動に取り組み、すでに若者たちのオーシャンレースの手ほどきをしている。
Laurent GESLIN 筆
AFP
2018/12/27
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