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2023-07-12

Otchan’s Star ☆ OceanBootCamp(Over 50 years old) (オヤジの星☆オーシャンブートキャンプ 50歳〜)Vol.1

区間:浦賀港〜函館港約500マイル
期間:2023/06/27〜07/01

第一弾!⭐︎木田修二さん⭐︎

2023年6月27日から7月1日にかけて50歳以上の3名のCamperが乗艇してOceanBootCampが開催されました。
今回の乗船必須条件はJOSAサバイバルトレーニング受講者であること。
サバトレで学んだことを実践を通じて再認識できる貴重な機会になることを期待して浦賀港の「シティーマリーナヴェラシス」を出港し函館港の南北海道外洋帆走協会泊地を目指しました。
Camper3人のレポートを3弾に分けてご紹介いたします。
そして次回は貴方の参加をお持ちしております。

木田さんは2022年11月に開催された第3回サバイバルトレーニングを受講されました。
2017年にはJOSAのサポートの元、ロリアンのトレーニングセンター(CEPS)で開講されたサバイバル講習も受講されています。(その時のレポートはこちらからご覧いただけます)
フランス、ロリアンで貴帆と初対面を果たされたという木田さんですが、今回は貴帆でのOceanBootCamp!
函館は第二のホームポートとのこと。
浦賀港から函館港までのOceanBootCampの様子をレポートくださいました。

お楽しみください!

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『浦賀~函館 Ocean Boot Camp おやじの星ブートキャンプ 参加レポート』

 

ヘルムを持つ木田修二さん

文:木田 修二
写真:JOSA

ついにこの時がやってきました! Class 40 貴帆との最初の出会いは 2017年、ロリアンの屋内ヤードで整備中の時でした。屋内であったこともあってとても大きく感じてセールの大きさやデッキのレイアウトなどから自分でこの船を操るイメージができませんでした。だからといって、良いチャンスが巡ってきた 時に自分からそれを避けてきたわけではありませんでしたので今回のBoot Camp は、まさにこの時がやってきたのだという感慨がひとしおでした。同時に今年の小笠原レースでの北田さんと若いお嬢さん二人の快挙の後でしたので、人生の後半も過ぎた私がこのBoot Campに参加する意義は何なのか、おそらく参加者の中で 最高齢であろうと予想していたことから他の参加者の足を引っ張るのでは?という漠然としたモヤモヤ感は否めませんでした。しかし、It’s never too late to sail. が私の信条で経験しなければ答えも出ませんので前向きな気持ちで参加させ ていただきました。

2023/06/27

前日夜に空路にて東京へ着いて朝一番で電車の駅で北田さんと落ち合いました。京急久里浜駅でコーヒーを飲みながらもう一人の参加者の堤氏を待ってからいよいよヴェラシスへ向かいます。貴帆との再会、やはり大きい!出航の準備をしながらハリヤードやシートを目で追って艤装を一通り理解しようと試みましたが、目で見 ただけでは自分がそれらを操作しているイメージが湧いてきません。 ここでさらにもう一人の参加者重野氏が食糧の買い出しを済ませて合流。北田さん以下参加者3名全員集合です。艤装品などについて少しのレクチャーがあったのですが、言葉は理解できても身体がスムーズに動くにはまだ時間が必要でした。体の 小さい私にはいろいろなものが高くて遠く感じていました。12:00頃いよいよ出航です。出航の時はいつでも開放感や少しの不安な気持ちなどで いつもと違う心持ちになるのですが、今回はそれらを感じる間も無く出航となりまし た。だからと言って非常に慌ただしく出航したわけでもないのでむしろニュートラ ルな平常心だったのかもしれません。東京湾へ出るとさほど強くない向かい風、この日は行き合う本船も少なく感じま した。非常にリラックスした雰囲気で数時間過ごしましたがBoot Campは始まったばかり、数度のタッキングは風が強くないこともあって無難にこなしていきます。 夕暮れ前に館山あたりへ着いて1800からワッチのローテーション2時間OFF 4時 間ONの開始です。私は1800から2時間OFF からローテーションが始まりました。

眠れる時に寝る、食べられる時に食べるがモットーの私は早速デッキから降りて 休憩です。おやすみなさい。今回、使えるボンクは2か所でひとつはローテーションの数に入れていない北田さんが使用。もう一つのボンクを参加者3名が入れ替わりで使う方式でしたが、私はバウのセールロッカーで寝ていました。とても広いスペースで持ち込んだシュラフを羽織ったり包まったり自由にさせてもらえました。日頃の陸の上での仕事の疲れで バキバキに固まった体が少しずつほぐれていくのを感じました。

2023/06/28

真夜中のワッチON、交代でヘルムを持つのですが大きなドジャーと大きく張り出したキャノピーは私にとってちょっとした問題でした。コックピットに座って舵を持つと風を感じ難い、視界が非常に限られてバウ先は見えるけれどその先の波頭は見え難い、マストヘッドの ウィンデックスもヘッドライトで照らさないと見えない。また、フラットボトムとツインラダーのヘルムの感覚も初めての体験。船を真っ直ぐに走れせることができない自分に唖然となりました。パラパラ動くコンパスのデジタルの数字だけが頼りでしたがこれだけでは真っ 直ぐ走れない。日頃アナログな古い船に乗ることが多い私には新鮮な経験でした。船の状態やコンディションを感じ取るコミュニケーション能力が必要ということでしょうか。 この日の朝、銚子沖を通過して午後には進路を北東寄り。どんどん沖出しして本船航路よ りも東へいきます。当然携帯電話は圏外、しばらくの間陸の人たちからは行方不明となりました。 また、良い潮に乗れて風が弱まった場面でもSOGはプラス3ノットくらいのご褒美がもらえ てディランを稼ぎます。

そして再び夜のワッチが始まります。

(写真左)堤さんとお二人、和やかなデッキでの様子

2023/06/29

夜明け頃、金華山沖を通過。風はほぼずうっとダウンウィンド。強すぎる風にはまだ遭遇し ていませんが到着地函館付近津軽海峡では小さな低気圧に遭遇する予報が出ています。なるべく早く津軽海峡を突破したいところです。 ワッチのローテーションを繰り返しながら船を北へ向けていきますが、北田さんは夕方に 宮古へ寄港して予備燃料の補給を決定しました。生憎風も弱まり宮古入港には少し長い時間 がかかって2100頃宮古着岸となりました。この数時間前、宮古寄港が決まった時私の中では燃料補給のみでタッチアンドゴーを想定していましたが、その後の気象の予報も考慮して一晩宮古に停泊となりました。 宮古着岸後はコックピットの整理、燃料買い出しの後ささやかな中締め慰労会を船内で行っ て翌日からのCamp再開に備えました。

2023/06/30

明けて6月30日朝。 ロングの場合、どこかの港で一晩過ごして翌日の出航は夜明けか夜明け前と相場が決まっていると思い込んでいた私。津軽海峡と函館地方の天気予報から宮古の出航は午前遅い時間でした。他の皆さんよりも随分早く目が覚めた私は付近を散歩して偶然見つけた散水栓で頭を流して顔を洗い清々しい気分で月末の陸の仕事のため少しの間パソコンを開いて、朝食は泊地のすぐ脇の漁協の食堂。新鮮な魚で腹ごしらえでした。 昨夜の宮古着岸から思いがけないのんびりした時間をFullに堪能させていただきました。宮古の港にはプレジャーボート用に桟橋が整備されていて、今まで数度この港へ入りました が今回が一番居心地がよく感じました。 11:00頃舫を解いて、深い宮古の湾を出た後は再び北上です。 夕方から夜にかけて西の風が強まり船のスピードもアップします。ここには潮のMagic Carpetsはもうなかったのですが的確なセールチョイスとウオーターバラストが威力を発揮 して船は非常に安定していて不安に感じるものは何もありません。今までのように夜もロー テーションでどんどん北へ向かいました。

 

2023/07/01

西寄りの強い風の中、夜明け過ぎに尻屋埼付近に取りつきました。 岬の回航はいつでもなかなか景色が変わらなくて焦った気持ちになるものです。貴帆は順 調に尻屋埼をかわしましたが、進路の変更とともに風は弱い向かい風。しかも津軽海峡から 出てくる潮と悪い波でスピードは最悪。短い周期の波でバウは上下に翻弄されて強烈に水面を叩いてしまいます。尻屋埼から大間までは潮の本流を避けて岸よりを進みますがなかなか良い反流に乗れません。既に北海道も見えているのに焦る気持ちを抑えてここは辛抱のセー リング(実際はここの区間は機帆走でした)です。大間の灯台が見える頃になってやっと風 が上がってきたのですが、津軽海峡特有の湧き立つような潮の河もやってきました。風が弱いままでこの潮にあたったら太平洋へ押し戻されていたかもしれません。風があれば何でもできる!大間の沖から函館山へいざ海峡横断。途中いくつもの潮の河を渡り確実に函館へ船を寄せましたが、函館湾手前で一旦風が落ちてしまいました。函館は私にとっても第二のホー ムポート、直前で風がなくなっても焦ったりする必要はありません。函館山の麓を過去のレースシーンを思い出しながら入船漁港をかわしていよいよ函館港入港です。 18:00頃。緑の島桟橋では函館のクラブの方達が数名で迎えてくれました。彼らに舫ロープ を渡してついに函館着岸。おやじの星Boot Campも終了です。さっと船の整理を済ませ船 内方付けは明日に廻して函館五稜郭にて反省会となりました。

終わりに

北田さん、重野さん堤さんありがとうございました。皆さんのおかげでこのBoot Campに参加できて航海中も不安に陥ることなく目的地に辿り着きました。約500 マイルの航海は私にとって初めてのことではありませんでしたが貴帆での500マイルは新しい世界の入り口であったことは間違いありません。しかしこの船をもっと理解して装備を正しく適確に操作するにはまだまだトレーニングが必要です。その先の近い将来30ノット以上の風を100%のパフォーマンスで走れる世界が私にも訪れるのでしょうか。このレポートの最初に書いたBoot Campへ参加することへのモヤモヤ感は既に全く無くなりました。しかも次のメソッドは青函カップヨットレー ス。 レースの行方はいつでも水物で、気負ったところで結果に繋がるとも限りませんが 自分自身も周りの皆さんも納得できる結果が出るように頑張ります。もう一度、Ocean Boot Campに参加できたことに感謝申し上げてレポートを終わります。

 

 

 

 

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