第32回初島ダブルハンドヨットレース参戦記
こんにちは。先日9月21日(祝)に行われた第32回初島ダブルハンドヨットレースに貴帆miniで参戦されたJORA会員の伊藤望スキッパーからレポートが届きました。
浦安マリーナで一緒にトレーニングしている伊藤隆コスキッパーとのW伊藤コンビで臨んだ初めての貴帆miniでのショートハンドレースの模様です。お楽しみください。
文:JORA会員 伊藤望氏
2020/09/28
長年参加している初島ダブルハンドヨットレースに今回はJORAの協力を受けて、貴帆mini(mini6.5/POGO2)で参加した。その参戦レポートをここに記す。
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伊藤望スキッパー(向かって右)と伊藤隆コスキッパー
私は、フランスでのサバイバル・メディカルトレーニング受講を期に2018年にJORAに入会したことから、昨年、浦安マリーナをホームポートとする貴帆miniでトレーニングをする機会を得て活動してきた。動機は、海外のショートハンドヨットレースに一度は出てみたいという想いからだった。
その時から今年の初島ダブルハンドヨットレース参加を考え、北田氏との練習だけでなく、前回は自艇(THETIS-4)で参加したのだが、市村晃敏さん(ミニトランサットを目指しているJORAメンバー)がmini6.5で参加していたので、レース後の逗子→沼津の回航に乗船させて貰い、操船のノウハウや船外機を用いたヨットでオフショアの回航を体験するなどして参加の機会を窺っていた。
そんな中で、一緒にプーケット キングスカップに参加して以来意気投合している伊藤隆君が、JORAのメンバーとなって貴帆miniでの練習を一緒にするようになり、参加を具体的に意識するようになってきた。
しかし、今年はコロナ禍の状況にあり、JORAでの貴帆miniの活動も一時中断を余儀なくされ、艇も長年の使用による電気系統の劣化、ウインドセンサーの破損など他にも問題があった。次々とヨットレースが中止となっていき、8月あたりから漸くヨットレースが再開をしだし、このレースの公示を確認したのは下旬になってからだった。北田氏に艇を使用したい旨を伝え、了解を得ると共に、全面的にJORAのサポートを受けてレース公示に従って準備を進めていった。
mini6.5/POGO2はフランス仕様、航海計器類を国内に代理店の無いnkeの製品を使用しているので専用のウインドセンサーは手配が間に合わなかった。そういったこともあり、オートパイロットを含む航海計器類は今回使用をあきらめていたが、回航前日に駆けつけてくれた北田氏が自らコントロールユニットの接続を試みてくれた。作動には至らなかったがその協力体制には感謝したい。結果当初から考えていたとおり、ウインデックスとマグネットコンパスを使って行くことにした。
ホームポートの浦安マリーナからレーススタート海面までは約50nmの航程なので、事前に東京湾から相模湾へと回航をすることにした。あいにくコスキッパーの隆君が乗船できなくなったが、貴帆miniでの活動メンバーの高頭さんが快く往路回航に乗船を申し出てくれ、仲間の協力をありがたいとつくづく感じた。レース2日前の9/19に小網代に向かうために浦安マリーナを0545ドックアウトした。船外機が珍しく一回で掛かり幸先が良い。港外でメインセイルを揚げると風が弱く帆走とはならなかったが、波が穏やかで潮も手伝い7時間30分で到着した。
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小網代で自艇Thetis-4と並ぶ
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係留風景
9/21 レース当日、小網代湾の奥の係留場所からスタート海面の逗子沖まで10nm弱の距離、余裕をもって出たが湾口で船外機が停止してしまう。いろいろと点検して、チョークレバーやスロットルを調整しても一向に掛からず、まさかこんなことでスタートラインに立てなくなってしまうのかと不安がよぎる。プラグを外して見ることも考えたが、燃料タンクをスペアの物と差し替え、スタータハンドルと30分程格闘していると船外機が始動してくれた。0650までの出走チェックに間に合わせるべく全速力でスタートラインへと向かうことになった。
0700 全艇スタート、貴帆miniは他艇を避けアウトサイドリミットマーク側からスターボードタックでスタートラインを横切ると共にジェネカーを揚げる。風軸はほぼラムラインに沿ったダウンウインド。クオーターリーで走り、ブローのシフトで初島にヘディングできた。軽風で他艇と遜色ない走りに安堵してしまって、もっと岸寄りに上っていきスピードを稼がなかったのが往路での敗因だった。
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スタート後、コスキッパーとヘルムスを交代した。
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軽風のフリーラン、痛恨の置いてきぼりを食らう
1127 初島灯台Mag0°、アプローチからチラホラと周りにいるのは小型艇だけ。復路はmini6.5の不得意なアップウインド。諦めずに軽風の中、風下側に座りヒールを作りながらフィニッシュラインを目指した。
2100 タイムリミットにあと2.5nm届かずDNFとなった。1800の時点で残航を考えるとフィニッシュをするには既に厳しい状況だったが、コスキッパーが諦めることなく鼓舞してくれたのでタイムリミットまでレースを続けることができた。結果は残念だったが満足している。北に見える本部船の黄色の回転灯を恨めしく眺めながら城ヶ島灯台の灯光へ向けて舵を切った。さあ!あと50nm、我々のレースは浦安マリーナへ到着するまで終わっていない。夜半から東京湾は北風が上がってくる天気予報だ。
三崎港うらりに立ち寄りコンビニのカップラーメンをすすって身体を温めた。この4連休は一気に涼しくなったので持ってきた衣類を全部着込んで再スタート。それでも夜の東京湾は寒かった。連休中の夜間といえどもそれなりに本船の往来がある。真上りなので航路の脇の狭い海面を真ぎっては走りにくいので機帆走で行く。ポート側に船外機が取り付けてあるので、ポートタックでヒールが強くなるとプロペラが海面から出てしまう。ヒールを押さえるようにセイルを逃がしながら行った。
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復路回航の東京湾、漸く夜が明けてきて睡魔との戦いを終えた。この風が前日のレース時に吹いていればなぁと思った。
1000(9/22)浦安マリーナに無事帰港。復路回航は三崎港から10時間掛かった。早速2人で安着の祝杯を上げた。結果はともかく、自分にとって新たな艇でチャレンジすることができた。小さなチャレンジかもしれないが、チャレンジこそJORAの目指すことでもあると思う。一緒に戦ったコスキッパーの伊藤隆君、JORAの仲間やスタッフ、北田代表理事、他にも多くの人に多大なる協力を戴いたおかげで今、こうしていることに感謝したい。ありがとうございました。
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無事に帰港
追記
今年は年頭に自艇でパラオレースを走ったこともあり浦安マリーナまでの回航も長距離という思いはなかった。それでも30時間寝ずにセイリングをしているのはちょっと眠かった。おしまい。
JORA会員がmini6.5で活動している様子はこちら「JORA虎の穴レポート(mini6.5)」
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